シェムリアップ州にあるアンコール遺跡群の一つ、「西メボン寺院(West Mebon)」の修復工事がすべて無事に終了しました。


​これに伴い、2026年11月に正式な開通・公開式典が行われる予定です。この式典は、カンボジアで開催される「第20回フランコフォニー首脳会議(フランコフォニー・サミット)」に合わせて実施されます。当日は、カンボジアのノロドム・シハモニ国王陛下と、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が共同で出席される見込みです。
​西メボン寺院の歴史と文化的な価値


​建設の歴史:
西メボン寺院は11世紀半ば(バプーオン様式)に建設が始まりました。スーリヤヴァルマン1世の時代に作られ始め、ウダヤーディティヤヴァルマン2世の時代に完成したとされています。もともとはヒンドゥー教の「ヴィシュヌ神」を祀(まつ)るために建てられた寺院です。
​珍しいロケーションと意味:
この寺院の大きな特徴は、アンコール地域で最大の人造湖「西バライ」の中心にある人工の島に建てられていることです。水の上に浮かぶような構造は、ヒンドゥー教の神話に出てくる「乳海(にゅうかい)」を表現しています。また、信仰の場所としてだけでなく、当時の水利システム(水を管理する仕組み)としても大切な役割を果たしていました。
​建築の特徴:
寺院の一辺は約100メートルで、正方形の形をしています。外壁にはラテライトや砂岩が使われており、門や壁には動物の彫刻が生き生きと描かれています。
​歴史的な大発見:
1936年、フランス人考古学者のモーリス・グレーズ氏によって、寺院の中から巨大な「青銅製のヴィシュヌ神横たわり像」の一部(頭部と胸部)が発見されました。もとの像は全長約6メートルもあったと考えられています。現在はプノンペンのカンボジア国立博物館に保管・展示されています。


​カンボジアとフランスの協力プロジェクト
​西メボン寺院の修復は、アプサラ機構(APSARA National Authority)とフランス極東学院(EFEO)が長年協力して進めてきた重要なプロジェクトです。専門家たちは「アナスティローシス(解体修理)」という高度な技術を使い、慎重に復元作業を行ってきました。
​2026年11月の式典は、素晴らしい世界遺産が蘇(よみがえ)ったことを祝うだけでなく、カンボジアとフランスの長い歴史と深い絆(きずな)を世界に示す特別なイベントとなります。

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