カンボジア北部の断崖に佇む古代クメール遺跡で、その絶景と歴史的価値から旅行者に人気のスポットです。アンコールワットとは異なる魅力を持つ、秘境の寺院です。
1. 建設とヒンドゥー教の聖地(9~12世紀)
クメール帝国時代に建立され、シヴァ神に捧げられたヒンドゥー教寺院。
主にスーリヤヴァルマン1世(11世紀)とスーリヤヴァルマン2世(12世紀、アンコールワット建設者)によって拡張された。
崖の上(標高625m)に位置し、「天に近い神殿」として神聖視された。
2. 仏教寺院へ転換(13世紀以降)
クメール帝国が仏教(上座部仏教)へ改宗後、寺院も仏教施設として利用されるようになった。
3. タイ・カンボジア国境紛争(20世紀)
1904年のフランス(当時カンボジアは保護領)とシャム(タイ)の国境画定で、寺院はカンボジア領とされたが、1962年、国際司法裁判所(ICJ)がカンボジアの領有権を認定。
2008年のユネスコ世界遺産登録を機に再び紛争が勃発、タイとカンボジアで軍事衝突が発生した。
2013年、ICJは寺院周辺の領有権もカンボジア側と判断し、現在は平和的に管理されている。
【神秘的な光景は「天空の寺院」と呼ばれる所以】